丸岡 直樹

「正解」は誰も持っていない。だから私は、目的のためにあらゆる境界線を越えていく

丸岡 直樹 / Maruoka Naoki

社長室ゼネラルマネージャー/文化庁出向

文化庁へ出向し、官民の壁を越える社長室GMの丸岡直樹。失われゆく日本の文化を未来へ残すため、両者の視点を繋ぐ「翻訳者」としての挑戦を語ります。

日本の喪失感と、「自分たちの世代」の責任

「このままだと、日本が古来から大切にしてきた風景や考え方が、全部なくなってしまうんじゃないか」。 学生時代からNPOの活動などを通じて地域と関わる中で、私の中に芽生えたのは強い危機感でした。時代が変わり、経済効率が優先される中で、日本中で価値ある歴史や文化が静かに、でも確実に失われつつあったんです。 その現実を見たとき、「自分たちの世代は、未来に対して責任を果たせていないのではないか」という焦燥感に駆られました。

就職活動で自分の人生を懸けて何がしたいかを突き詰めたとき、「未来のこどもたちに誇れる仕事をしたい」という私の個人的なミッションと、バリューマネジメントが掲げるビジョンが完全に一致しました。ここなら、失われゆく日本の価値を、ただ嘆くのではなく、事業として未来へ残す戦いができる。そう確信して、この会社に飛び込んだんです。

官と民。遠く離れた世界を繋ぐ「翻訳者」が必要だった

バリューマネジメントで現場の責任者やマーケティングを泥臭く経験する中で、一つの壁にぶつかりました。目の前の施設を再生するだけでは、日本中で失われゆく文化財を救うスピードに到底追いつかないんです。 もっと根本的な仕組みから変えなければならない。そう考えたとき、会社は私を国土交通省(観光庁)へ、そして文化庁へ「文化観光推進コーディネーター」として送り出してくれました。

決して「外の世界に出ること」が目的だったわけではありません。日本の文化を残すという大きな目的を果たすために、たまたま「行政というルールの内側」からアプローチする役割が必要だったんです。 これまで行政と民間は、言葉も、文化も、見ている正義も違う、とても遠い存在でした。文化庁は「保存」を求めますが、ビジネスのノウハウはない。民間は「活用」して利益を出そうとしますが、文化財の価値を損なうリスクがある。だからこそ、両方の「言語と葛藤」がわかる私が、その壁を払い、コミュニケーションを密にする「翻訳者」にならなければならないと気づいたんです。

経済合理性だけでは測れない「なくしたくないモノ」

私は今も、年間250日くらいは地方に出張し、全国の現場を走り回っています。結局、リアルな課題は現場にしか落ちていないからです。 そこで痛感するのは、「税金だけで全ての文化財を支えきることは絶対に不可能だ」という冷酷な現実です。でも、だからといって経済合理性だけを突き詰めて、「儲からないから壊してしまえ」で良いわけがありません。 経済合理性だけでは測れないけれど、「それでもなぜか、絶対になくしたくないモノ」。それこそが「文化」なのだと、私は思っています。

古いものをただガラスケースに入れて見せるのではなく、現代のニーズに合わせて「活かして」いく。事業として自走することで「保存」の原資が生まれ、保存されることでそこがまた新たな文化の「苗床」になる。この「良い循環」を日本中に広げていくことが、今の私のミッションです。

目的のためなら、自分なりの境界線を越えていける

私はたまたま国や行政というフィールドにも足を突っ込んでいますが、全員がこういうキャリアを歩むわけではありませんし、それが正解だとも思っていません。 大切なのは「外に出ること」ではなく、「目の前の社会課題を解決するために、自分なりの境界線をどう越えていくか」です。それは社内の部署の壁かもしれないし、地域の方々との壁かもしれない。 バリューマネジメントには、目的を果たすためなら、前例のない泥臭いアプローチでも「やってこい」と背中を押してくれるカルチャーがあります。

これから仲間になる人には、「与えられた役割」に縛られないでほしい。自分の人生を使って、未来の日本にどんな価値を残したいか。その本気の想いがあれば、手段はいくらでも生み出せます。 社会に対して意味のある仕事を残したい。日本の新しい未来を作るために、共に葛藤し、熱く議論できるあなたに出会える日を楽しみにしています。

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