稲尾 侑紀 / Inao Yuki
地域共創 マネージャー
「人の感性を豊かにすることで、人生を豊かにしたい」
それが、私の人生の信条です。大学では音楽に没頭し、教員免許も取得しました。しかし、表現者として歩む中で、一つの残酷な現実にぶつかったのです。それは、素晴らしい芸術や文化であっても、今の市場経済の中では、経済的な仕組みが伴わなければ消えてしまう、という持続可能性の課題でした。
「自分が演奏家として活動するよりも、この価値が世の中に正しく認められ、自立して循環する仕組みを創る側に回りたい」
そう考えた私は、あえて音楽の道ではなく、ビジネスの最前線で力をつけることを選びました。バリューマネジメントの門を叩いたのは、文化を単に「保存」するのではなく「活用」を通じて再生させるというビジョンに、震えるほどの衝撃と、確かな温度感を感じたからです。面接で語られる「文化を紡ぐ」という言葉の裏側に、綺麗事ではない「本気で社会を変えようとする熱量」を見たことが、私の人生を懸ける決定打となりました。
私は自分の仕事を「地域の魅力を体験に編集すること」だと定義しています。
地域には、その土地にしかないお酒、食、景観、そして何より「人の温かさ」という最高の資源が眠っています。しかし、それはそのままでは外の人には伝わりにくい。
私は、単なる「コンサルタント」よりも、地域の「翻訳者」でありたいと考えています。
例えば、広島の日本酒文化を世界へ届けるプロジェクト。ただお酒を振る舞うのではなく、海外のトップシェフを招聘し、地域の酒造りや食材の背景にある「思想」を一つの物語として再構築しました。
「あなたの仕事は素晴らしかった。ここでしか得られない体験だった」
終了後、シェフからいただいたその言葉には、地域の方々と共に積み上げた価値が、言語の壁を超えて届いたという確信が宿っていました。
宿泊部門のマネージャーや自治体への出向を経て、現在は後輩や出向メンバーの育成にも心血を注いでいます。しかし、かつての私は、自分の想いが先走るあまり、周囲とのギャップに悩むこともありました。
「地域には、年齢も立場も、生きてきた背景も全く異なる方々がいる。自分の正義を押し付けるだけでは、何も動かせない」
そんな苦い経験から学んだのが、「徹底的な準備」と「相手の文脈への想像力」です。誰に、何のために、どの言葉で伝えるか。図解やシナリオまで落とし込んで準備する。この「泥臭い一手間」こそが、信頼を築くための最短距離だと気づいたのです。
最近、担当している若手メンバーが、最初は正確に情報をキャッチできなかった状態から、今では単独で地域の方の期待を超える提案ができるようになっている。その「できなかったことができるようになる」変化のプロセスを見守ることは、地域が再生していく姿を見るのと同じくらい、今の私の大きな喜びです。
私は一人っ子で、昔から少し「世話焼き」な性質がありました(笑)。
その根底には、「世界を構成しているのは人であり、壊すのも育てるのも、仕組みを変えるのも人次第である」という信念があります。だからこそ、仕事においても私生活においても、人に寄り添うことを一番大切にしています。
休日に知らない土地を旅し、街並みや暮らしの文化に触れて自分の「学習欲」が刺激される瞬間、私はいつも思います。
「この町を愛し、自主的に活動している大人たちの力になりたい」
私の原動力は、特定の地域への執着ではなく、出会った人々の想いを守りたいという純粋な願いにあります。音楽で培った感性と、ビジネスで磨いた論理。その両輪を回しながら、目の前の人の人生に、そして地域の未来に貢献できる自分でありたい。それが、私の目指す「理想の自分」です。
バリューマネジメントの仕事は、未来に続く価値をこの手で残していく仕事です。
ここには、地域にも、人にも、確実に「残る」手触りがあります。
「大切だと思えるもの」を自らの意思で選び取り、寄り添いながら共に走る。
そんな、良い意味で「おせっかい」で、熱苦しいほどの使命感を持った仲間を求めています。
「文化×地域」の接点をもっと増やし、新しい文化の価値を世に問う。この贅沢な挑戦に、あなたも一緒にワクワクしてみませんか。