ロワイエ・パトリック

表面だけでなく、他の人が日本文化を発見できるよう手助けしたい。――カナダから来た私が、この国の「核」を次世代へ紡ぐ

ロワイエ・パトリック / Loyer Patrick

インバウンド事業部 マネージャー

カナダ、ケベック州出身。大学で日本文化を学び、JETプログラムで来日。約10年間にわたりインバウンドDMCでプロダクトマネージャーとして活躍。2023年、バリューマネジメントへ入社。海外ゲストに日本の地方の魅力を届ける架け橋として、日々情熱を注いでいる。

画面越しのプレゼンに震えた、「あの日」の確信

私がバリューマネジメント(VM)に出会ったのは、世界中が静まり返っていたコロナ禍のことでした。当時、インバウンドDMCで働いていた私は、週3日勤務という不安定な日々の中で「日本の本当の魅力とは何か」を自問自答していました。

そんな時、偶然参加したウェビナーで、愛媛県大洲市の「城泊」や「NIPPONIA」のプレゼンを耳にしたんです。

古い建物をただ直すだけじゃない。その土地の歴史を尊重し、地域コミュニティごと守り、観光の力で再生させていく。その圧倒的な熱量に触れた瞬間、画面越しに「これだ!」と心臓が跳ねました。

数年後、リクルーターからVMを紹介されたとき、「あの時の会社だ!」とすぐに繋がりました。

「いつかチャンスがあれば関わりたい」

心にしまっていた願いが、現実の扉を叩いた瞬間。私は迷わず、この場所で自分のキャリアを「紡ぐ」ことを決めました。

侍の誇りと、変化の中で守り抜く「核」

私はカナダという「若い国」の出身です。新しいものを作るエネルギーはあっても、千年前から続くお祭りや建物が、今も当たり前のように暮らしに溶け込んでいる景色は、私の目には信じられないほど尊いものに映りました。

私の仕事観の根底には、幼い頃に見た侍映画や、大学で学んだ日本の「Ethic(倫理・仕事観)」があります。日本人は、時代に合わせて形をアダプト(適応)させながらも、決して変えてはいけない「核」を驚くべき粘り強さで守り続けている。

「宿泊は単に寝る場所ではない。それは文化と触れ合い、人生を豊かにする時間であるべきだ」

だから私は、効率や利益よりも、「どれだけ深く文化を伝えられるか」を大切にします。予約ボタンを押してもらうことよりも、ゲストがチェックアウトの瞬間に「日本を心から好きになった」と笑ってくれること。その一瞬のために、泥臭い努力を惜しまないのが私のスタイルです。

言葉の壁を超えて届いた「来てよかった」の重み

VMに入ってすぐの頃、あるヨーロッパのご家族をアテンドしました。お父様は英語、お母様はフランス語が中心の、少し複雑なコミュニケーションが必要な現場でした。正直、オフィスでの営業活動とは違う緊張感と難しさがありました。

でも、歴史的空間に身を置き、その土地の物語を私の言葉で一生懸命伝えていくうちに、ご家族の表情がどんどん柔らかくなっていくのが分かったんです。最後にお見送りをするとき、ご両親から**「本当にここに来てよかった。ありがとう」**と言っていただけた。

そのとき、私は確信したんです。オフィスで数字と睨めっこしているだけでは得られない「手触り感のある喜び」が、この仕事の真髄なんだと。

もちろん、今でも日本語での細かなニュアンスの伝達に苦労し、チームとのミスコミュニケーションで落ち込むこともあります。でも、その度に**「キャリアとして、人の人生に関わっているんだ」**という誇りが、私を奮い立たせてくれます。

奥さんとの出会いと、息子に託した「天地」の物語

私の私生活も、実は日本との不思議な「ご縁」で溢れています。

今の奥さんと出会ったのは、ワーキングホリデー中の高速バス。偶然隣に座った彼女が日本語のアナウンスを聞き取れず困っていた私を助けてくれたのが始まりでした。あの時、勇気を出して「大丈夫ですか?」と声をかけなければ、今の私はここにいません。

私の息子の名前は、実は日本のアニメ『天地無用!』に由来しています(笑)。「世界中どこに行っても伝わり、親しみやすい名前を」と妻と話し合って決めました。

私にとって家族との時間は、ただの休息ではありません。日本という国を選び、ここで生きていく覚悟を再確認する、大切な原動力です。

休日に家族と過ごし、子供の未来を思うとき。

「この子が大人になったときも、日本の美しい文化が形を変えて残っていてほしい」

その願いが、そのまま私の仕事への熱量に直結しているんです。

お金のためじゃない、文化のために本気になれる場所

私が思う「VMらしさ」とは「目先の利益よりも、文化とコミュニティを守る意志」です。

コロナ禍の過酷な時期に、誰一人として解雇しなかったというエピソードを聞いたとき、この会社は本当に人を、そして文化を大切にしているのだと深く共感しました。

ホテルにある英語の案内を一つ増やすこと、歴史の写真をもっと見やすく配置すること。小さなことかもしれませんが、日本の地方には、まだ世界が知らない「リッチな物語」が眠っています。

「日本文化の美しさを、世界中のゲストが自分のペースで発見できる環境を作りたい」

この想いに共鳴してくれる仲間と一緒に、次の100年を紡いでいきたい。仕事としてではなく、自分の「生き方」として文化に関わりたいと願うあなたに、ぜひこの扉を叩いてほしいと思っています。

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